熱処理

2段急冷低歪熱処理『KS2・KSV処理』

ダイカスト金型の寿命向上のためには耐ヒートクラック性、耐溶損性を高めるとともに、クラックの進展や割れに対する抵抗性、靭性面にも充分な配慮が必要です。金型の硬さを上げると初期ヒートクラックに対しては有効ですが、大割れの危険性や一旦クラックが入った場合の進展性に関しては問題があり、逆に硬さを下げると大割れの危険性はなくなりますが、初期ヒートチェックに対しての問題が残ります。

高温域N2冷却による無脱炭KS2処理炉

硬さを下げることなく靭性値を向上させる、または硬さを上げても通常ほど靭性値が低下しないために最近では焼入れ冷却速度を上げることにより靭性値を向上させる熱処理方法が一般的になってきています。

もともとダイカスト型材は歪を嫌うため比較的冷却速度が遅くても、充分に焼入れが可能な材質が使用されてきました。そのため、急冷=歪の問題が発生し、性能が向上することは理解していながら、急冷しつつ低歪は無理であると考えられていました。

当社の急冷低歪熱処理技術『KS2・KSV 処理』は焼入れ温度から冷却終了までの間で、どの温度域が型材の性能に大きく影響するかに着目し、熱間工具鋼の場合は、マルテンサイト変態(ベイナイト変態)温度域のみを重点管理することにより従来の全域急冷と比較して低歪を実現しました。

  • 加圧真空熱処理炉

  • 加圧2室型真空熱処理炉

多段急冷低歪熱処理『KS3・KS-R処理』

特殊多段階冷却
『KS3・KS-R』処理対応 雰囲気熱処理炉

特許取得済 特許第5075293号
発明の名称 金型の焼入れ方法
出願番号 特願2012-520604
登録日 平成24年8月31日
国際出願番号 PCT/JP2011/080342
出願人 日立金属株式会社・小山鋼材株式会社

『KS3・KS-R処理』は高性能材や更なる大型ダイカスト型対応として粒界析出温度域とマルテンサイト変態温度域の両者を急冷し、なおかつ低歪を目指す新たな熱処理方法です。 熱処理歪(変形)は製品形状及び製品内外の温度差が主たる原因と考えられています。

KS3・KS-Rは、粒界析出とマルテンサイト変態のどちらにも影響しない準安定オーステナイト領域を利用し、製品内外及び形状による表面部位の温度差を極力押さえ、多段階冷却による特殊冷却方法を採用しています。

その他の特徴として従来のKS2処理の課題であった表面脱炭が皆無であり、雰囲気対流加熱のため均一に速く昇温が可能です。

DAC CCT曲線とKS処理冷却速度模式図

セミ真空焼入れ、焼戻しライン

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